良く動画の編集は重いけど、写真の編集はそれ程でもないとか言われます。
なので、写真のRAW現像は、無難な所で、Core i7、Core i9を選んでおけば良いという話もあります。
さて、実際はどうでしょうか?
RAW現像とCPUの関係、Ryzen 9 3900Xでの現像
論より証拠、実際Ryzen 9 3900Xによる現像スピードは?
趣味の世界でも、RAW現像は速いに越したことはありません。
ましてや、僕の場合は仕事ですので事情も違います。
仕事になると、納期と言うものが必ずありますし、急ぎの仕事もあります。
こちらの記事の内容で組み立てたRyzen 9 3900XのRAW現像に特化したパソコンPCで検証しています。
Ryzen 9 3900Xの現像スピードはCore i7のおよそ 5倍!
結論から申し上げると、比較対象が古くて申し訳ないですが…
8年前に組み立てたCore i7 3770Kが旧環境でした。
CPU | 200枚の所要時間 | 1分当たり |
Core i7 3770K | 1時間6分 | 3.03枚 |
Ryzen 9 3900X | 13分50秒 | 14.46枚 |
この差は、なんと約 4.78倍です
8年前とは言え、当時のコンシューマ向けのCPUとしては、IntelのフラッグシップであるCore i7との比較です。
2倍でもなく3倍でもなく、およそ5倍です。
差があり過ぎですね。
ちなみにそれぞれのスペックはこのようになっています。
Core i7の環境
- CPU: Core i7 3770K
- RAM: DDR3 32GB
- 起動ディスク:SATA SSD 500GB
- VGA: Radeon HD7850 2GB
Ryzen 9 の環境
- CPU:Ryzen 9 3900X
- RAM:DDR4 64GB (内16GBをRAMDiskで使用)
- 起動ディスク: NVMe SSD PCI-Exp Gen 4 1TB
- VGA: GeForce RTX 2060Super DDR6 8GB
いずれもOSはWindows 10 Proで、CPUはノーマルの状態です。
どちらもCPUクーラーは空冷です。
現像スピードにこだわる理由
前述のように仕事で使っていますので、納期は勿論あり、無理な注文もあります。
そして、カメラもEOS 5Ds 5,000万画素、EOS 5D Mark 4 3,000万画素で、
たまにEOS-1DX 1,800万画素も使います。
特にEOS 5Dsはメインの撮影である美術品が多く、美術館の展示室になるとHDRは必須です。
加えて、パノラマ撮影もしますので、生成されたDNGファイルは、大きいもので1GBを超える事もあります。
HDRでも3枚合成でも200MBを越えますので、Lightroomで展開するとメモリ使用量も相当なものです。
以前の環境でもLightroomだけで9GB程使っていました。
また、イベント系の撮影もたまにありますが、1回の撮影で1,500枚とか普通ですよね。
パラメータを振って、一気にバッチ現像その間に別の作業をして…
という事は日常茶飯事です。
僕の場合、イベント系でレイヤーも使わない処理でも、一度TIFFに落としてから、JPEGにしています。
Photoshopのバッチ処理で、(時代遅れの)JPEGに変換しています。
JPEGのトーンカーブのかけ方がLightroomでは出来ないからです。
なので、まずは1,500枚の現像があろうとも、それが終わらないと次にいけません。
それが遅くなると、翌日に持ち込みという事になってしまうので、現像のスピードは非常に重要になります。
Ryzen 9 3900XでのRAW現像のスピード
さて、このような猛烈とも言える現像スピードですが、やはりCPUのパワーに他なりません。
AMDの第三世代、3000シリーズですが、元々強かったマルチスレッドの処理が更に早くなり、シングルスレッドでもIntelと同等かそれ以上です。
また、実際に使ってみて分かった事は、RAWのバッチ現像時、24スレッド100%の状態でも、他の操作が普通にできるのです。
Intelの時には考えられない事でした。
まず、マウスがまともに動きませんでした。
今まで、それが普通だと思っていましたが、普通ではなかったのです。
Ryzenの場合、CPU使用率が100%でも安定しています。
安定? どこかで○○の安定性って言いますよね。
あれって何ですかね?
マルチスレッドに関しては、クリエイティブ系の処理、例えばRAW現像、動画のエンコードと言った思い処理は、Intelの同クラスの物より40%程速いというデータがあります。
そろそろ印象だけで語るのは止めましょう。
Intel一択とかIntelの安定性というブログでは、根拠も証拠も明示されていません。
Ryzen 9 3900XのCPUクーラーは空冷で充分
CPUクーラーに関しては、個人的に空冷が良いと考えています。
空冷CPUの良さは…
- 信頼性–物理的に壊れる部分が少ない
- メンテナンス性–ほぼメンテナンスフリー
- 静粛性–音が出る部分がファン位で静か
デメリットは水冷より冷却性能が劣る事がある。
その程度ですが、ものによりますし、壊れた時のリスクは計り知れません。
液漏れ、ポンプの故障等々、今は怖くて使えませんね。
また、集中して作業したいときに、音の発生源が多い、水冷はうるさいと言われています。
ファンは比較的ケースの表面近くにあるし、液体がホースの中を通過する音が常にします。
水冷の方が売る側からすると利益率も高いので、推してくるという事もあります。
また製造元は確か一つか二つくらいと聞いています。
後は、それぞれのメーカーがデザインをしてロゴを付けたり、光らせたりして製品化しています。
まだまだ様子見だと思っています。
中には、メーカーでオーバークロックして、280mm以上のラジエーターでないと冷やせない(実は冷えない)CPUもあるそうですが、Ryzen 9 3900Xにも到底及ばないようです。
RAW現像のスピードとCinebench R20の関係
Cinenbench R15よりも実際の処理に近い数値が出ると言われています。
あくまでベンチマークなので、目安ですが、数値を見るとある事に気づきました。
これは一概には言えませんが、Cinebench R20のマルチスレッドのスコアにおいて
現像のスピードと連動するように見えました。
Ryzen 9 3900XのCinebench R20のスコア
Core i7 3770Kのスコアは1,400未満です。
これは、現行でアーキテクチャも1個前の、Ryzen 3 3200Gよりも低いものです。
一方、Ryzen 9 3900Xは、今回3台組み立てましたが、2台とも7,100を超えました。
この差は約5倍です。
現像のスピードもその差は、およそ5倍でした。
200枚のRAW現像時に、タスクマネージャでCPUの稼働状況を見ましたが、Ryzen 9 3900Xでは、12コア24スレッド全てが、100%でした。
このようにRAW現像は非常に重い処理になりますが、全コア、全スレッドを使いきるレベルですので、当然のことながら、CPUのパワー、特にマルチスレッドの能力が効いてきます。
Core i7 3770Kは4コア8スレッドです。
また、アーキテクチャも古く、プロセスルール-ざっくりいうと内部の配線の太さも、Ryzen の3倍太く、全然違います。
オーバークロックした結果! Cinebench R20が…
マザーボードは、ASUS ROG CrossHari VIII Hero Wi-Fiです。
ASUSのユーティリティでオーバークロックが出来ます。
僕自身はオーバークロックはしない主義で、長期にわたって安定した運用を目指しています。
取敢えずですが、試しにしてみました。
10%増しで、Cinebench R20のマルチスレッドのスコアが、7,300を超えました。
すぐに戻しましたが、それだけのポテンシャルを秘めている事は分かりました。
いずれにしても、現像スピードがCore i7 のおよそ5倍という事で、仕事で使う面でも大きなメリットを感じます。
精神的にも全く違います。
ただ、正直な所、パーツ代だけで30万円程掛かってしまいました。
その点はあまり参考にならない事もあります。
Core i7 の環境から、大きく改善された事
RAW現像に限らず、Photoshopの処理においても、フィルターを掛けた時の感覚も、もっさりしていたCore i7 とはまるで違います。
感覚的な表現しかできませんが、フィルターの処理も速くなりました。
それどころか、IntelのCPUでは、膨大なバグがあり、そのパッチを当てる事によりパフォーマンスが低下しています。
その数値は16%ともいわれています。
実際はバグがいくつもあり、それが”複合的に効いてくる”ので、16%どころではは済まないでしょう。
これは実際に使っていると、深刻さを感じました。
(移行したので既に過去形です)
また、VGAの影響もありますが、Lightroomのプレビューもほぼ瞬間で像が安定します。
そして、実際の使用時も、以前のCore i7 の環境では、Lightroomを使っていてもストレスの連続でした。
サムネイルをクリックして、RAWファイルを選択するだけで、Lightroomが落ちる事がありました。
それも頻繁にです。
そこまでいかなくてもRAWファイルを線画するだけで、ブラックアウトし、フィルターを掛けると止まる。落ちる。
このような事は毎日続き、仕事にならない事も多々ありました。
書き出しを実行しても、0(ゼロ)バイトのファイルが出来るだけとか、
HDRのDNGファイルをTIFFに書き出しが出来ず、20回ほど失敗するとか。
どうしようもない状態でしたので、現像スピードが5倍とかそのような事以前の問題でした。
今は、すべてそのような環境から抜け出せて、快適に作業が出来ています。
本当に大きく、大きく改善されました。
RAW現像とCPUの関係、Ryzen 9 3900XでのRAW現像のスピードのまとめ
如何でしょうか。
Ryzen 9 3900XはRAW現像においても、優れたCPUであることが、少しですがお分かり頂けたかと思います。
まだ運用開始したばかりですので、これから、HDR処理、パノラマ処理等をLightroomでしながら、その性能をレポートしたいと思います。
RAMディスクも効果絶大と感じます
RAMを64GB積んだ目的はRAMディスクを使う事でした。
今は、LightroomのキャッシュメモリをRAMディスクにしています。
16GB確保して、一部をLightroomで使っています。
Photoshopの仮想記憶域にも使う予定です。
これについても、後日レポートしたいと思います。
いやぁ、本当に今回はRyzenでRAW現像用のPCを組み立てて良かったと思います。
バリバリ仕事で使えそうです。
長文を最後までお読み頂きありがとうございました。m(_ _)m
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